業界のホンネとタテマエ


  • このコーナーは、様々なテーマについて業界の方々に屈託のない意見を述べて頂いたり、 スクウェイブとしてのコメントを徒然なるままに記載することを主旨としている。
  • 従って、このコーナーに記載される内容はスクウェイブの事業説明の補足を意図したものではない。
    またゲストの方の意見も含めて、ここに記載される内容は、 スクウェイブの公式見解とは必ずしも一致しないので予め御了承頂きたい。
  • その前提で、このコーナーは、記載者のホンネを記し、 タテマエとのギャップから何かしら読者の業務のヒントになることがあれば大変素晴らしいが、 むしろ私としては、ちょっとした気分転換になって頂ければ本望と考えている。
    是非肩肘を張らずに一杯のコーヒーを飲むついでにご覧頂きたい。
2004年5月20日 黒須 豊

第8回:対談「本社情報戦略とIS子会社のバランス」

掲載日: 2004年9月13日
ゲスト: 大日本印刷株式会社
取締役 情報システム本部長
DNP情報システム株式会社
代表取締役社長 小槙 達男 氏
インタビュアー: 株式会社スクウェイブ
代表取締役社長 黒須 豊
    • 『今回は、社員のモチベーション向上に意欲的に取り組んでいるゲストにお話を伺いました』
    • 黒須:
    • まず、小槙さんのご経歴を簡単にお話しいただけますか?
    • 小槙:
    • 私が大日本印刷に入社したのは昭和46年ですが、配属されたのが電算部でした。
    • 黒須:
    • 学生時代からコンピューターを学ばれていたのですか?
    • 小槙:
    • いいえ、法学部でした。なぜ自分が電算部になったのか未だにわかりません(笑)。でも電算部は設立されたばかりの部署でしたから、ゼロから作っていくという意味では非常にやり甲斐がありましたね。
    • 黒須:
    • 当時、電算室は経理部内にある会社が多かったと思うのですが、御社は一つの部と して独立されていたのですか?
    • 小槙:
    • そうです。「会社の将来を考える」的なプロジェクトの一環として電算部が設立されました。その後情報システム本部と名称は変わりましたが、私自身はこの分野でずっと働いてきました。今は大日本印刷(株)情報システム本部の本部長と、DNP情報システム(株)の社長を兼務しています。
    • 黒須:
    • 長い間ITに携わっていらっしゃった中で、やっていて良かった点、または辛かった点があったら教えていただけますか?
    • 小槙:
    • やはり入社して間もない頃は大変でした。設立2年目の部でシステムに詳しい先輩がいなかったので、あらゆることを自分で調べ、考えなければならなかったですから。当時はシステムといっても紙テープでしたし、ものすごく泥臭かったですよ。 エラーの訂正処理を毎日夜遅くまでやって・・・もう辞めたいと考えたこともあります(笑)。
    • 黒須:
    • ご自身で一から勉強されたんですね。
    • 小槙:
    • 誰も知っている人がいないですからね。そういう時代でした。
    • 黒須:
    • 現在マネジメントする立場になられて、考え方が変わったこと、あるいは気を付けていることがあれば教えてください。
    • 小槙:
    • 情報システム部門というのは会社全体を把握しなければならない組織ですからね。システムという観点からですが、いろいろなものを幅広く見るように心がけてきま した。 ところで、こういう機会ですから多少の宣伝をしてもいいですか?
    • 黒須:
    • どうぞ!
    • 小槙:
    • 大日本印刷は、1876年創業の古い会社です。総合印刷会社として、拡印刷をコンセプトに事業を拡大し今では色々な製品やサービスを提供しています。創立125周年を迎えた2001年、新たなコンセプトを「P&Iソリューション」と定めました。“P”はPrintingTechnologyで“I”は Information Technologyです。PとIのソリューションを融合させたビジネスを拡大していきましょう、という意味です。いきなり “I”を取り入れたわけではありません。印刷会社として過去に手がけてきた“I”がそれなりにあったのです。一番古いものでは出版の編集システムがそうです。
    • 黒須:
    • 今で言うDTPですか?
    • 小槙:
    • そうです。情報を電子化して様々なメディアに変換したり、ICカードのOSを自前で開発したり、いろんなことに取り組んできていますからITの蓄積はありました。 ダイレクトメールや携帯電話の請求書など、大量の個人向けの情報処理加工もやっています。そのプロセスでITを使っているわけです。こういった仕事をしてきてい ますので、多くの事業部に、その事業部独自のITを担当する組織が形成されてきました。そして、各組織で必要なソフトウェアのノウハウをグループ内に蓄積するため、十数年前に全国各地にシステム開発の専門子会社を作りました。一方では当然、本社組織としての情報システム部門が存在しましたが、6年前に分社化し、情報システムの企画・設計・開発・運用を全て子会社に移管しました。 そして2年前に、情報システムの子会社と、全国各地に存在するシステム開発の専門子会社を合併して出来たのが現在のDNP情報システムということになります。大日本印刷の中にはそれぞれの事業で「P&Iソリューション」に沿った独自のIT を追求していく組織と、全社を見る立場でのDNP情報システム(株)の二つがあるので す。
    • 黒須:
    • DNP情報システムの役割についてお話しいただけますか?
    • 小槙:
    • 会社の情報システムについての全責任を負うことと、それぞれの事業部が進めているP&Iソリューションのシステム開発を支援することです。
    • 黒須:
    • 全機能をDNP情報システムに移されて、大日本印刷本体にはいわゆる情報システム部門として機能するところは全くないということですか?
    • 小槙:
    • 実質の業務は全てDNP情報システムが行っています。企画と設計開発を別組織にすると何かと不都合が出るので、あえてそれはしませんでした。ただ、全社的な情報化のテーマについては、本体の情報化推進部という組織が専門で見ています。DNP 情報システムと情報化推進部が連携するというスタイルをとっています。
    • 黒須:
    • 本社の役員さんがIS子会社の社長を兼務しているという形は、他社でも存在はしていますが、皆さん板ばさみになって苦労されるケースが多いようです。小槙社長の場合は、そういったジレンマはないのでしょうか?
    • 小槙:
    • 私たちは、グループが常に一体となって事業に取り組んでいますから、組織上どこ の所属であっても違いはありません。他と比べれば、ジレンマは少ない方ではないでしょうか。ただ子会社の場合、他社と同様、それなりに目標をしっかり立てて収 益を上げなければなりません。その辺のバランス(本体の事業&子会社としての収益)を上手に取る必要がありますね。
    • 黒須:
    • 多くの企業で不満を持つIT部門の社員が多い中、御社の場合はロイヤリティが非常に高く、どちらかというと会社に満足している社員が多いと感じます。他社と比べてすごい高賃金というわけでもないですよね。普段から何か動機付けができているということでしょうか?
    • 小槙:
    • DNP情報システムは専門会社ですから、実績に応じて処遇にメリハリをつけるなど、それに適した体系を取り入れています。それから外部資格を取った場合は奨励金を出すとか、優れた業績には高額の表彰をするとか、やる気に報いる制度を作っています。また2年に一回は全国20ヶ所近くを周って社員全員と個人面談しています。そうしないと、社員一人一人の仕事の状況や、思いがわかりませんからね。
    • 黒須:
    • 約800名と面談するのは大変ですね。でも社長が直接話しを聞いてくれたら、社員のモチベーションは上がるでしょうね!御社クラス以上になりますと、会社のトッ プと話せる機会はそうないですから。
    • 小槙:
    • 教育にも力を入れています。ITを専門とする以上、社会に通用する技術者でなければなりません。
    • 黒須:
    • 仕事への動機付けはうまく機能しているようですね。
    • 小槙:
    • まだまだこれからですが、今後もメリハリをつけてやっていきたいと思っています。
    • 黒須:
    • 次は小槙さんの個人的な趣味について聞かせてください。
    • 小槙:
    • ありきたりですが、車とゴルフです。ドライブするのが好き、ゴルフでも ドライバーが好き。どちらも「飛ばす」のが好きなんです。うちの車は年間2万キロ以上走りますよ。
    • 黒須:
    • それはすごいですね! お若い頃からですか?
    • 小槙:
    • いえいえ、免許を取ったのは40歳のときです。「奥手の人間は暴走する」の典型ですね(笑)。
    • 黒須:
    • ゴルフも40歳過ぎてから始められたのですか?
    • 小槙:
    • ゴルフは昔からやっていましたが、ドライバーを振り回せば、リフレッシュできますよ。
    • 黒須:
    • 私は振り回しても飛ばないので全然スカッとしません(笑)。羨ましい限りです。
    • 『今回はご多忙の折、小槙氏にお時間を頂戴しました。ありがとうございました。』